なぜ古いトラックを買い取るのか?中古トラックと輸出について

年式の古いトラックや稼働時間が超過した建機。不動車や車検切れ、さらには事故車など、廃車にするしか他に方法がない車を買い取りたい業者がいるのは何故なんだろう。

 

そう思ったことはありませんか?

 

トラック買取業者はボランティアで買取をしているわけではありません。彼らが買い取ったトラックや建機の一部分は、海を越えてはるかかなたの海外で活躍しています。買取(輸出)業者によって取引先の国は多少変わりますが、多いのは、東南アジア、アフリカ、中東です。

 

これらの地域では、現地での需要はもちろん、その周辺地域へのハブ(中継基地)としての役割も持っています。例えば、アラブ首長国連邦は、中東の国々への輸出基地となっています。タイは、ラオス、ミャンマー、カンボジアなどと近いのでそれらの地域への中継基地の役割を果たしています。(今現在は、タイではタイへの中古車の輸入を事実上禁止しています。)

 

海外の人々と、日本人とは住んでいる環境も、価値観も違います。日本人には価値がないように見える中古トラックや中古建機を、現地では壊れても修理して使うというのが基本的な考え方です。というのも、現地では人件費が日本に比べてとても安く、東南アジアの国々ではベテランの整備士でもせいぜい月給7万円ほどです。

 

現地の人にとってトラックの価格は重視されます。新車ではとても買えないが、中古車なら買える。そう考える人は多いです。

 

ある地域では、中古トラック1台を所有して、個人事業主として起業すれば、年収100~300万円くらい稼ぐことが出来るため、中古トラックをたとえ100万円支払うとしても手に入れたい、そう考える方が多くいます。100万円は現地の人にとって、年収よりはるか上の価値に匹敵する大金です。

 

年式の古い車は今の車に比べて、作りが単純に出来ており、現地で修理が行えます。稼働時間が超過していても、日本の車は丈夫ですので、修理すればまだまだ使えます。不動車や車検切れ、事故車などは、修理して使う以外に、年式の古い車(今はもう、部品やパーツが手に入らない)が壊れた時の為に、パーツや部品取りの目的でニーズがあります。

 

海外への中古トラック輸出は、簡単に行えるかというとそうはいきません。それはその国の政治や経済的な事情が深くかかわってくるからです。現地の人たちは欲しくても、国の政策によっては海外からの中古トラックの輸入を禁止している国々は意外と沢山あります。

 

例えばある国は、国内の新車の流通を増やす為と、環境汚染抑制の目的から、海外からの中古車には高い関税と厳しい輸入制限をかけています。また別の国では右ハンドルの輸入が禁止されています。たとえ禁止されていなくても、輸入に対する法律が毎年変わる国もあります。

 

それ以外にも、国の情勢や経済が不安定で、現地に赴くこと自体にリスクがあったり、その国の貨幣の信用度が低く、代金が回収不能になるリスクもあります。いまは取引が出来ても、法律が変わって取引が出来なくなることもあります。

 

中古トラックを輸出するには、現地の人に負けない交渉力や高い英語力以外にも、その国の政治に明るく、国の情勢や経済に対して、ある程度先が読める能力も必要になってきます。

 

この記事の前半を読んで、「なんだ中古トラック買取業者は俺たちから安く買いたたいて、ボロ儲けしてるんじゃないか」と思った方もいるかも知れませんが、彼らもそれなりのリスクをとってビジネスをしているということがお分かりになったかと思います。

 

日本の中古トラックは海外ではとても人気があります。日本車の安全性や品質などが評価され、信頼されているからです。ですが、近年それを脅かす存在があります。例えば、中国の建機メーカーなどです。ある中国の建機メーカーは、日本の中古トラックや中古建機の価格以下の値段で新車を販売しています。

 

フィリピンなどでのオークション価格は、中国の新車価格が値付けの根拠になりつつあるようです。世の中は常に変化しています。日本の中古トラック市場も今の現状に胡坐をかいて努力を怠っていれば、いずれライバルに追い抜かれてしまうでしょう。

 

そうならないために、何をすればいいのか?私には分かりませんが、グローバルな世界で、賃金が安い国の生産したトラックや建機と日本のそれとが、価格競争にさらされる現実を踏まえて、常に先を見て動くということが大切になってきそうですね。